定款の本店に関する記載と本店所在地の登記は一致すると考えている方が多いようですが、必ずしも一致するわけではありません。
定款には「独立の最小行政区画まで定めればいい」ということになっておりますが、登記は「○町○丁目○番○号」まで全て登記しなければならないのです。そのため、一致しないこともあるのです。
(例) 定款 → 本店を東京都新宿区に置く と定めている会社でも、登記は、
登記 → 東京都新宿区新宿一丁目2番3号 と全て記載されます。
勘違いされている方の多くが、定款に「新宿区に置く」と定めておけば、新宿区内に本店を移転しても本店移転登記はしなくてもいいとお考えのようですが、それは正しくありません。
そのようなケースでしなくてもよいのが、「株主総会の定款変更決議」であって、本店移転登記ではありません。
定款に「番地」まで具体的に規定していると、区内の移転でも、その都度、株主総会を開催して定款変更の決議をして…となりますが、「新宿区に置く」と定めておけば、区内の移転では株主総会を開かなくてもいいのです。
株主が何十人、何百人…といる会社の株主総会を開催するということは大変な時間、コストがかかりますが、それをしなくてもいい、ということに大きなメリットがあります。
実際には、株主=取締役となっている小規模の会社が多いので、あまりピンとこないのかもしれません。
登記された住所が少しでも変わるようなケースでは、区内の移転であっても本店移転登記が必要となります。